自然モノサシ:冬 『ふくら雀』

日本人になじみ深い鳥の代表格、スズメ。その小さく愛らしい姿が、より愛らしさを増すのは冬ではないでしょうか。そう、「ふくら雀」になる冬です。
これは、全身の羽毛に空気を入れて膨らむ、スズメの防寒対策。一年中見られるスズメですが、冬はこうして存在感を一層増し、季節感を私たちに伝えてくれます。
ふくら雀は、「福良(良い福をもたらす)雀」や「福来(福が来る)雀」と当て字され、富と繁栄を願うという意味で大変縁起が良いともされています。こう言われると、わざわざ見つけたくもなりますね。
また、ふくら雀(=寒雀)は、冬の季語にもなっています。古く小林一茶や杉田久女の句にも詠まれています。
こういった面からも、生き物という自然から、季節の移ろいを感じとってきた日本人のこまやかな心情がうかがえますね。
冬眠や、姿かたちを変えて冬を過ごす身近な生き物たちにも視点を落とし、冬を、季節をより一層感じてみませんか

(高木千絵)