「季節の自然モノサシ」に寄せて

農作物の栽培技術と人・地域との関わりに身を置いて、土佐での45年が過ぎた。この間、土佐にも過疎化と都市化の大きな波が押し寄せた。ふと眼を閉じると、物心ついてこの方、ひたすら遊びに夢中であった故郷の子供の頃の風景と土佐の原風景が重なる。正月、節句、彼岸、田植え休み、七夕、お盆、夏休み、十五夜など四季折々の行事と日々の暮らし・・・。その時々の空の色、雲の形、風の音、虫の音、鳥や蛙の鳴き声が心の拠りどころとなり、時の移ろいを感じながら日々生かされ、共に生き、現在に繋がっていることを改めて実感している。
「自然豊かな高知の行く末は?」、「高知の生物多様性はいかがなものか?」と問われて、はたと答えに窮した。そんな折、「季節の自然モノサシ」作りに出会い、門を叩いた。
「共通のモノサシ」、「人それぞれのモノサシ」、「道標」など、千差万別の「モノサシ」が考えられた。「参加し、挑戦すること」で、ワクワク、ドキドキしながら『自分のモノサシ』を考え、探し出す気づきの作業でもあり、夢が膨らんだ。

(前田 幸二)