「季節を失う者たち」

野市で季節の変化のヒアリングをしていて驚いたことがある。ある高齢の男性に『春の訪れを感じるのは?』と尋ねると『桜だね』という。しかし、その後の言葉に私は耳を疑った。『でも桜なんかテレビで見るだけだ』。

思わず『なぜですか?!』と聞く。散歩の途中で花を見たりしな いのですか?『そんなもん、わざわざ見ても仕方ないし面倒だ。テレビで十分ですよ』。これには少なからず衝撃を受けた。

野市では意外と『自然 は自分から求めないとない』という人が少なくなかった。大型店舗が立ち並び、コンクリートで固められているからだという。家にいればエアコンで年 中快適。暮らしは『豊か』で、自然の姿はバーチャルで十分だという。そのことに何の疑問も不満も持っていない。『自然なんてめんどくさい』と 言い切る高齢者が二人もいたのは寂しいことだった。自然の豊かさに気付かない、気づけない世 代は何も若者だけではないのだと知った。

(渡辺瑠海)

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